先ず、イギリス人はどのような文化的価値観を持っているのかを理解する必要があります。

 イギリスのEU離脱は、間接民主主義よりも直接民主主義の傾向、つまりポピュリズムを優先する政治傾向に問題の本質があります。次の例は極端な例です。わかりやすくするために例としてあげていることを理解してください。

 例えば、イギリスのEU離脱は、沖縄が日本から独立するようなことなのです。

 現在のイギリスは、EU内でのアメリカの州のような位置づけです。もっと分かりやすく例えれば、江戸時代の藩のような環境にあります。沖縄は日本ですので、沖縄県の方が東京で働くには何の制限もありません。その逆もしかりです。沖縄に物を送っても関税は不要です。同じ国だから当然です。イギリスのEU離脱は、そのような特典を放棄してでもEUから離脱したいという国民の意見が強いということです。

 愚かな選択だと思うかもしれませんが、歴史的に見れば普通のことです。例えば、ソ連の崩壊により多くの国が独立しました。ロシアの一員のままである方が、スケールメリットがあった国も多い筈です。しかし、民族自決や宗教の違いによる異なる価値観の中で生きることは息苦しいことでもあるのです。ボスニア紛争では、民族や宗教をひとまとめにはできない例が虐殺という形にまで及んでしまいました。

 よって、損が大きくとも、自分たちの価値観に基づく国家を渇望する一つの表現が、イギリスのEU離脱です。

 EU内であれば、イギリス人やイギリスの会社は、どこでも働くことができ、会社も国内と同等扱いとなります。しかし、外国となれば、現在EU内で働いているイギリス人はEUでの労働ビザを取得しなければならず、会社も自由な資本の行き来までできなくなります。その逆に、EU内のイギリスにある会社や労働者も同様となります。それでも、EUから離脱する道をイギリスが選んだのは、イギリスだからです。

 なんだかわかりにくいですね。日本は、協調性。イギリスは、頑固に自我を追求する姿勢が国民性です。よって、EUの理念とイギリス人の一般的な理想が、ドイツを始めとするEUの難民受け入れ姿勢などとぶつかり、イギリスは、EUからの離脱を選択しました。

 イギリスは、国民の声に答える形で、EU離脱についての国民投票を行い、その結果を受けてEUからの離脱を決定しました。政治で決められないので国民に決めてもらう姿勢は、正しい民主主義に見えるかもしれませんが、それは、議会制民主主義の有効性を放棄した判断です。

 直接民主主義は、ギリシャのポリス(古代都市国家)政治から始まります。ポリス政治では、最も人気を集めた人物は陶片追放としてポリスから追放をされた事実があります。簡単に言えば、ポピュリズムによる政治的カリスマや世の中の雰囲気で判断をしてしまう一般民衆の判断の誤りを防ぐための政治手法が陶片追放です。

 直接民主主義的な行動は、精査されないカリスマを生む恐れがあります。私たちは、議会制民主主義により、ポピュリズムで生じる沸騰をクールダウンさせ、全体主義的な政治方向を抑制する機能があることも忘れてはなりません。

 しかし、最近の世界の政治傾向を見ると、あまりに民衆に寄り添い、大衆の声を愚直に政治に表現するがために、その後の大衆の思いの変化を無視する傾向が強くなっています。結果として、経済や国益にも悪影響を与えるような国も増えています。

 その一つがイギリスです。イギリスが、EU離脱を選択した最も大きな理由は、イギリスは2回の大戦の戦勝国であり、中近東やアラブで行ってきた行動を反省する必要がなかったことに一因があります。

当然に、イギリスの論理は、歴史を監修できる勝者の立場であり、イギリスの不利益を排除するために2回の大戦を勝ち抜いた強い思いが国民に共有されています。

 しかし、彼らの不利益は、視点が小さいように感じています。イギリスがEUにとって外国になれば、トヨタやホンダはイギリスでの企業運営で関税や労働力の確保面から大きなダメージを受けます。

 この問題は、更に大きなリスクをイギリスに及ぼす恐れもあります。アイルランドとEU、スコットランドの独立とEUなど、イギリス特有な問題が現実化し世界的な混乱を引き起こすトリガーともなりかねません。

 そんなことはわかるだろうと考えるのは日本人だからです。日本は、「和」を第一としますが、そうではない国の方が多いのです。また、海外に進出する企業にとって、世界中で起きているセルフィッシュな国の増加トレンドに於いてのリスクヘッジは重要となっています

 では、何故離脱を国が認めるのか。理由は企業のウエーブ化、知的人材の増加によるウエーブ上の企業の増加の期待が一つの理由です。

 イギリスは、多民族国家です。ウエーブ上で大きく利益を上げることができる企業がイギリスを中心として世界的に売り上げを伸ばすことができる魅力も秘めています。

 イギリスの企業が、業態変換を加速させることができ、アメリカとの関係を経済的に更に強めれば、以前のような経済大国への復帰も果たせるかもしれません。

 但し、イギリスが現在抱えている、教育の質の歪みから更なる格差社会が広まるかもしれません。

 日本は、経済大国です。しかし、生産は人件費が安い国に移ることは必定です。また、文化の多様性や容認性には乏しいようです。イギリスのEU離脱から、何故イギリスはその道を選べるのかを、表面上だけでなく、過去から、現在、未来を考察できる人となることが必要です。

 当然に、そこから日本が歩むべき道も見えてきます。