デジタル課税は、ユビキタス社会の進展に伴って、個人の経済迄がネットに繋がり国の枠を超えている現状が各国にとって放っておけない状況となっているところから生じている問題です。

 フランスのデジタル課税、イギリスのデジタル課税などの各国の思惑によって、ルールがない中で、まるで「イギリスのEU離脱=Brexit」のような、各国の勝手な思惑によるルールなき課税が生じる状況が生まれています。

 この問題はデジタル、ユビキタス社会がインフレーションする中での間接税の新しい世界的ルール作りへの警鐘です。

 デジタル課税は、日本にとっても放っておけない問題です。その理由は、日本にもデジタルコンテンツにより世界的な規模で商取引を行っている会社が多いからです。

 コナミや任天堂が一例です。例えば、タイに居ながらのオンラインゲームなどの課金や無料であっても海外でゲームを利用している際に表示される広告などもフランスやイギリスでの課税対象となります。

 その他、国をまたいでの物理的な商品の売買がなくとも、デジタルコンテンツの使用料やロイヤリティなどにも課税範囲が及ぶ恐れも否定できません。

 日本の企業が海外で生産をする関係企業、わかりやすく日本本社とタイ支社としましょう。

日本の愛知県に本社を置くトヨタ自動車は、タイでは支社ではなく「タイトヨタ」です。もちろん、タイではトップ企業です。タイトヨタ車の生産は2018年には1千万台を超えましたので、世界的に見てもタイトヨタはメガ企業ですね。

 お父さんの会社の日本本社が「どうやって利益を上げるのですか」と生徒に聞くと「儲かったお金を日本に送る」と答える生徒がほとんどです。

うーん、そうなのでしょうか!

 でも、それは勘違いです。利益はタイの会社=タイでの利益であり、勝手に異なる国にある日本の本社に送ることはできません。日本とタイの会社は違う会社だとの認識が必要です。

 では、どうやって日本の会社が儲かるのでしょうか?

 その、利益の柱の一つが「ロイヤリティ」です。タイのトヨタは、トヨタの名称を使用しますので商標権を持つ日本のトヨタに商標使用料を支払う必要があります。

 高校生には少しわかりにくいと思いますので、AKBを例にとりましょう。AKBの名前を使ったフィギアとかグッズをタイで作って販売する場合には、日本のAKBの商標を持っている会社との間でAKBの名前を使って良いかとの交渉が必要です。そこで決まったAKBの名称の使用料がロイヤリティです。

 特に、日本に本社がある会社がタイで子会社を設立する場合は、日本の本社がロイヤリティの金額や%を設定できますので、それこそ大きなロイヤリティによる利益を日本の本社が得ることが可能となります。

もし、そのようなコンテンツ、商標使用料にまでデジタル課税が及べば、日本の会社は大きな不利益を被る恐れもあります。

 そのほか、皆さんのお父さんは、日本の会社からの給料が日本で振り込まれ、タイではタイの会社から手当や職に見合った職能給を得ているのが一般的です。当然に、タイでは、タイで受け取っている給料にだけ課税がされています。しかし、本来はタイで働いているので給料はタイで全額課税されるべきだというような問題の発生も否めません。

 そんな馬鹿な!と思うかもしれませんが、ルールがなければ各国は自国に有利な税制度を設定することもあるのです。

 フランスは、世界的な話し合いや合意など何もない中で今年からデジタル課税を始めます。フランス政府の試算では、その税額は日本円に換算すると600億円だそうです。

 世界には、フランスやイギリスのように世界との協調よりも自国の利益を最優先とする国も少なくありません。

 現在、そのようなコンテンツを持っている国は、先進国がほとんどですので、タイのような発展途上国が税収を向上させ、社会インフラを自国の税収で行えるようなるためには、日本も痛みを分かち合う必要もあります。

 よって、選挙権を持つ18歳以上の日本人の皆さんは、日本の利益、家庭にも及ぶ利益の損失を最小限に留めるために、デジタル課税についても、論理と論拠に基づく意見を持つ必要があります。

 これからは、一国だけの概念、理念で経済を進めることはできません。当然に、次世代の税制度として、世界共通の経済や税のルールを設けることは必定です。

(※授業トピックに関連して、授業時間外に生徒からLINEで送られてきた質問です。)

◎BESTは、授業でわからないことなどを授業以外の時間にも的確にお答えしています。

それにより、受講生は説得性の高い小論文や各種出願書類の構成、作成及びハイレベルな面接、口頭試問の受け答えができる受験生へと成長してまいります。